映画「アウトレイジ」レビュー(ネタバレ少なめ)
映画アウトレイジ観てきました。
まず、最初に言いたいのは、純粋に面白かった。
多分、近いうちまた映画館に観に行きます。
正直、今までの、北野武監督のバイオレンス映画とは、テイストが全然違う。
過去のヤクザ映画、特に、「その男、凶暴につき」「ソナチネ」等は、
言葉少なめな寡黙な男(そこがまたカッコイイ)のストーリーなのに対し、
アウトレイジは、登場人物がよく吠える吠える。
その部分については、賛否両論分かれるところらしいんですよね。
過去の北野映画は、セリフ少なめの良さ、というのがあって、
つまり、多くを語らずに、監督の意図を汲ませるという独特の魅力があった。
それを好きだったファンにとっては、
「ちょっと喋りすぎじゃない? くどくない?」
となるらしいんです。
個人的には、セリフ少なめの良さ、っていうのはすごく共感で、
「その男、凶暴につき」のビートたけし演じる我妻の「寡黙な怖さ」は大好きですし、
今回のアウトレイジのヤクザ達が喋りすぎる、っていう前情報だけ聞いてた僕は、
正直、「大丈夫かな?」って思ってました。
ただ、今までの北野映画と比べると、明らかにエンターテイメント色が強く、
まさに男の痛快バイオレンスムービー、という感じ。
よく、アウトレイジのことを「原点回帰!」と紹介されたりしてますけど、
そうではなくて、原点をベースに更に新しいバイオレンス映画を観させてもらった! という印象です。
つまり、過去の作品からグレードアップしてると思う人もいると思いますが、
そうではなくて、同じ監督バイオレンス映画でもジャンルが違うんです。
そういう意味では、どちらが良いとかではなくて、好みが分かれる作品なのではないでしょうか。
とは言っても、初期の作品「ソナチネ」等と比べても、有名な俳優さんが多数出てますし、
セリフが多い分、ストーリーが単純明快だし、スピード感がハンパじゃないので、
映画祭だけでなく、日本での一般受けもしそうだなぁ、と思っています。
キャスティングも、主要キャストの11人が、どれも役にバシッとはまってる。
しかも、これだけ多くの俳優さん使ってるのに、全員がちゃんとイイ味だしてるんです。
すごいバランスの取れた作品だな、と思います。
特に、三浦友和、加瀬亮、小日向文世の役は個人的にすごい好きです。
意外なもので、ヤクザが似合わなそうな人が悪を演じると、逆に怖く見えてくるから不思議。
加瀬亮演じる石原がいきなりブチ切れるシーンなんて、鳥肌立ちました。
で、まさかのラストシーン! 全体を通して本当にムダの無い、洗練された映画です。
今日から全国映画館で公開されているので、是非!